第1話: 運命を変えた出会い / Yuki Toda

私は、大学時は柔道部のマネージャーとして活動しており、柔道部の寮は選手寮（学生寮と合宿所）、そしてマネージャー専用の寮がある。 ７月９日　朝９時　大学の柔道部の寮で寝ているときだった。 「戸田！」 同い年のマネージャーが部屋に入ってきた。　部屋は４畳半程度の広さだ。 「明後日から１週間部活休み！　今日はお昼から来て！　明日は午前中だけくればいいから」 そう言って同僚のマネージャーは自分の部屋に戻っていった。 布団に入ってはいたが、意識はあった。目を開けて天井を見ながら、考えた。 「どっか行きたい・・・世界遺産見に行きたいな」 その次に思い浮かんだのはキラウエア火山だった。 世界遺産といえば、お隣中国に万里の長城という素晴らしい建築物があります。日本にもあります。 けれども、当時からアメリカが大好きであったせいか、きっと世界遺産を見に行こうと思ったとき、太平洋方面にしか目がなかったことでしょう。 すぐにインターネットでハワイ島へのアクセスと料金を調べた。 ハワイ島には空港が２つある。　コナ空港とヒロ空港。 コナはコナコーヒーで有名な場所。　活気もあり、ヒロよりもコナの方が人気といってもいい。 しかしその時、コナへのフライトが１日に２便程度であったため、日本からの接続が悪かった。 逆にヒロ空港へは１時間に１便就航しているというフライトスケジュールだった。 当初、コナを希望していたが諦めヒロ行きを選択。 「２０万・・・高いな～。。。。でも行くしかない！」 少し、この高額な料金に悩んだが、行くことを決意。 しかし、そこで問題が。航空券を購入したのはいいが、肝心のホテルが確保できない。コナに拠点をおく、旅行会社へ連絡をすると 「映画の撮影なため、ホテルの部屋を大量に差し押さえられており空きがありません」との連絡を受ける。 ヒロ空港からそのホテルへは歩いていける距離だが、そのホテルを諦め、空港から車で２０分ぐらいの場所にある１泊２万もするB&Bへ泊まることにした。 この様々なその場での決断が、後に私の人生を変えることになるとは、知る由もなかった。 ７月１１日　成田を発ち、人生で初めてハワイ（オアフ島）へ アメリカ本土へは既に２度訪れており、約１年ぶりのアメリカの空気に喜びを感じながら、ハワイ島行きのフライトのあるゲートへ向かった。 ホノルル発ヒロ行きの機内に乗ると、窓側の席を探した。１時間程度のフライトだったため、窓から景色をみたかったからだ。 「窓側、窓側・・・あっ、あそこ空いている」 そうやって席を見つけると、通路側に座っている男性に話しかけた。 「ここ座っていいですか？」 カタコトの英語で話しかけると、通路側に座っていた男性が、飛び起きる様に席を立ち、私を窓側に座らせてくれた。 あまりのテンションの高さに恥ずかしがりながら「あっ、どうも」とだけ言って座った。私と、その男性の間には女性が座り、離陸した。 飛行機が離陸してしばらくすると、通路側に座る男性がマンゴーのグミをわけてくれた。 実際、マンゴーグミは少し口に合わなかった。 だけど折角くれたので、私は「グッドテイスト！」と言って親指を立てて御礼をした。 するとその男性は 「もっと食べていいぞ！」と言わんばかり、マンゴーグミをさらにくれた。 少し気になったのは、私とその男性の間に座っている女性だ。男性と何度も会話をしている。 「夫婦かな？」と思うほど、いろいろ喋っていたように思えた。   １時間後、飛行機はヒロ空港へ到着した。 グミをくれた男性は足早に飛行機を降り、出口へ向かっていった。 私は、「せめて一言御礼でも！」と思い、男性を追いかけた。 「Thank you very much!」と御礼をした時だった。その男性の隣を歩いている男性が 「おや？」という表情で私を見て来た。 グミをくれた男性は、どこからどうみてもアメリカ人（外人）。けれどももう１人は違った。 「Are you [...]